NHKのサイエンスZEROって初めて見たのですが、複雑な話を非常にわかりやすくまとめていて、すごくいいなあと思ったので今回扱っていた話を簡単にまとめてみました。
今回は「インターネット上の暗号」についてだったのですが、インターネットを扱う現代人は誰もがざっくりと知っておくべき内容だと感じました。
※私が視聴後調べて補っている部分もあり、あくまで素人が書いたものだということにご注意ください。
インターネット上の情報の暗号化
オープンなインターネットは機密性が低いという弱点があります。
そのため重要な情報をそのまま保存していた場合、情報が抜き取られてしまうおそれがあるわけです。
そこで情報を全く違う情報に「暗号化」して保存するということが行われています。
こういうURLの前に鍵マークが出ているサイトとか。
こういうサイトでは暗号を解けない限り情報を解読できないようになっています。
たとえばアプリとか個人のSNSのパスワードがハッキングされる、というような問題が度々ありますが、今回の暗号はこういった事象とは大きく違った話になります。
アプリやSNSのハッキングはあくまで個別のパスワードが盗まれる、というものです。
しかし今回扱っている暗号というのはパスワードを送る側のサイト全体に関わるもの。
サイトの暗号化がが破られるとサイト内の全てのパスワードが暴かれてしまうのです。
もしもこの暗号が突破されると数多くの個人情報・重要情報が一気に流出してしまうことになり、社会的な損失が極めて大きいといえます。
重要な情報をいかに暗号化しているのか
それでは現在のインターネットではいかにして暗号化を実現しているのでしょうか。
基本的な理論
インターネットの暗号は桁の多い数字を素因数分解するのが難しいことを利用して暗号化しています。
例えば「125869×498309」の答えは子どもでも地道に計算していけば正解にたどりつきます。
しかし「62721655521」を素因数分解した答えが「125869×498309」だということは相当複雑な計算を必要とします。
素因数分解を行うための効率的な方法というのは未だに確立されていないのです。
暗号の仕組み
この数学的な性質を利用し、最低でも77桁×77桁で出した155桁の数字を使って情報を暗号化する方法が考案されたわけです。
これをRSA暗号というようです。
このRSA暗号では素因数分解した2つの数字が暗号の鍵となります。
つまり「とある桁数の大きい数字」によって情報を暗号化する、そしてその暗号を解くためには「とある桁数の大きい数字を素因数分解した2つの素数」という鍵が必要、というわけです。
何千台のPCを並列でつかっても、その素数を導き出すことが困難なのだとか。それほど膨大な計算が必要なようです。
この素数を導き出すのが難しすぎるので普通は鍵を開けられないわけですね。
暗号解読の脅威
(疲れてきたのでここから先は箇条書きにしますw)
・しかし量子コンピュータがこの暗号の脅威となる可能性がある
・量子は扱える情報量が多い(量子ビットは一つのビットに2つの情報を置いておける。普通のコンピュータは1ビットには1つの情報のみ)
・量子コンピュータはビット数が増えるほど2の◯乗で扱える情報量が増えていく
・そのため量子コンピュータは通常のコンピュータに比べて膨大な処理を実現でき、膨大な量の計算が一瞬でできる可能性がある
・現在は量子コンピュータのハード面が追いついていないために暗号化を解くまでには至っていない。(現在の量子コンピュータは50量子ビット程度)
・しかし量子コンピュータの規模は現在飛躍的に増えている。かつては1量子ビットも作れなかった。それがここ数年で20量子ビット、50量子ビットと増えてきた。
・これが増え続ければ現在の暗号をすぐに解けるようになるのは、時間の問題なのでは…?
新たな暗号の研究
・現在のRSA暗号に変わる新たな暗号の研究が進んでいる。
・新しい暗号として「格子問題」が最も有力な候補となっている
・詳細は割愛w
・2次元なら簡単に解けるけど次元をあげていくと飛躍的に難しくなる。今は800次元とかまで試されている。
まとめ
- インターネットの暗号は「数学」なんだね
- 量子コンピュータの発展で複雑な計算が素早く可能になるかもしれない=現在の暗号は解かれてしまうかも
- そこで新たな暗号が開発されているんだね
その他番組の感想とか
こじるりすごい。視聴者目線のMCがお見事でした。
こういう立ち位置の番組すごく合っているのでは…?
あと、それにしてもEテレはいい番組を作るなあと毎回感動しています。
NHKは中途半端なバラエティもどきの番組を作るんじゃなくて、がっつりこういう方向に舵を切って、一日中こういう番組を放送してくれればいいのに。といつも思っています。