ふとしたきっかけで見た映画がちょっと日常を豊かにしてくれたり、現実から離れてリフレッシュする機会になったり。
良い映画を見ることは私達の日々の暮らしを色んな形で彩ってくれます。
しかし!様々な映画があるからこそ、どの作品が本当に面白いのかを探し出すのは結構大変です。
そこでこの記事では、多いときには年間120本映画を鑑賞していた私(27歳)がこれまで見てきた数々の映画の中から全力でオススメしたい映画を30作品厳選してまとめてみました。
特に同年代くらいの方には響くのでは?と思って選んでいます。
選ぶにあたっては、
- 超有名作品は極力除外しました(載せだすとキリがないので…笑)
- 他サイトのおすすめ映画記事に何度も掲載されている作品も除外多めです
- …が、やはりどうしても一部はかぶってます汗。名作なので仕方ない!
こんな感じで基準は色々ありますが、この記事で1作品でも「観てよかった!」と思える映画を見つけていただければ嬉しいです!
(※なお、この記事は2018年12月末に執筆していますが、随時良い作品があれば更新します。)
ちなみに、定額見放題の動画配信(VOD)サービスを活用すると圧倒的に手軽に映画が見れます。
一定期間は無料お試しができるので、すでにどれかに登録している人でもまだ使ったことのないVODサービスでお試し利用すれば、見たい映画をおトクに見れます。
サービスごとに見れる作品も違うので、使ったことのないサービスも要チェックです。
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- はじめに
- 人生観に影響を与える映画①『イントゥ・ザ・ワイルド』
- 人生観に影響を与える映画②『モーターサイクル・ダイアリーズ』
- 人生観に影響を与える映画③『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
- スタイリッシュな映画①『コードネームUNCLE』
- スタイリッシュな映画②『キャッチミーイフユーキャン』
- スタイリッシュな映画③『グランド・イリュージョン』
- スタイリッシュな映画④『Mr.&Mrs.スミス』
- 未来を垣間見るSF映画①『エクス・マキナ』
- 未来を垣間見るSF映画②『タイム』
- 未来を垣間見るSF映画③『アイランド』
- 雰囲気に浸りきりたい映画①『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
- 雰囲気に浸りきりたい映画②『バグダット・カフェ』
- 雰囲気に浸りきりたい映画③『ラ・ラ・ランド』
- 雰囲気に浸りきりたい映画④『かもめ食堂』
- 雰囲気に浸りきりたい映画⑤『武士の一分』
- 前を向く勇気をくれる映画①『はじまりのうた BEGIN AGAIN』
- 前を向く勇気をくれる映画②『ラッシュ/プライドと友情』
- 前を向く勇気をくれる映画③『ターミナル』
- 大切なものを振り返る映画①『アバウト・タイム 愛おしい時間について』
- 大切なものを振り返る映画②『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』
- 大切なものを振り返る映画③『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』
- 運命と選択を描く映画①『アメリカン・ビューティー』
- 運命と選択を描く映画②『アナザープラネット』
- 運命と選択を描く映画③『バリー・シール/アメリカをはめた男』
- 運命と選択を描く作品④『アビエイター』
- 運命と選択を描く作品⑤『ナイトクローラー』
- 番外編『耳をすませば』
- まとめ
はじめに
次の項からそれぞれの映画紹介を詳しくしていきますが、まずはじめに、このページでの紹介形式を例示しておきます。
紹介している映画それぞれについて、その映画を見ることの出来るVODサービスやレンタルサービスも同時に紹介しています。
各VODサービスの無料お試し期間でも、もちろん見ることが出来るので「あ、この映画興味あるな」と思ったらすぐにその映画を見ることが出来るようになっています。
ぜひ活用してみてください。
それでは次からは早速、おすすめ映画を紹介していきます!
人生観に影響を与える映画①『イントゥ・ザ・ワイルド』
6年近く前に一度見たきりの映画なのに、その印象が脳裏に確かに焼き付いている映画です。
見終わったあとには、主人公の青年に強く憧れるような、非難したいような、羨ましいような、そんな形容し難い感情に襲われたことをはっきりと覚えています。
主人公はアメリカの何不自由ない恵まれた家庭に生まれ育った青年。
大学を優秀な成績で卒業したあと、彼は家族にすら一切知らせずに姿を消し、突然旅へと出ます。
名前を変え、2年間の放浪のその結末までを過剰な演出などは一切なく丁寧に描ききっています。
モデルとなっているのはクリストファー・マッカンドレスという名の実在の人物。
全米で大きなニュースになり、追跡取材を重ねて発売された本も大きな話題となりました。
彼の行動や思想には若さを感じる部分もありますが、それでも彼のように生きることにどこか憧れてしまうのは、彼があらゆる閉塞感やしがらみ、義務、抑圧から自由になるための道を強く追い求めて生き抜いたからなんだと思います。
閉塞感を感じているすべての人に送りたい傑作です。
人生観に影響を与える映画②『モーターサイクル・ダイアリーズ』
イントゥ・ザ・ワイルドと似た空気感を持つので同時に紹介されることも多い作品ですが、話の終着点は大きく異なります。
こちらの作品も1950年台の実際の出来事を元にした物語です。
アルゼンチンの医学生のエルネストが友人とともに1台のオートバイだけを頼りに12000キロの南米大陸縦断の旅に出かけ、その中で南米社会の現実を目の当たりにしていきます。
若き医師がその長い旅の果に何を感じ、何を決意するのか。
エルネストはその後、一体どんな選択をすることになったのか。
物語のバックグラウンドを知りすぎずに見ると、そうだったのか!と驚きと感動を味わえると思います。
人生観に影響を与える映画③『ウルフ・オブ・ウォールストリート』
無一文から年収48億円にまで上り詰めた実在の株式ブローカーの人生を描き、人の欲望の有様を鮮烈に描いている圧倒的なインパクトを持つ映画です。
この作品を「ただただ欲望に溺れるだけの中身のない作品だ」「軽薄な拝金主義だ」と批判する人もいますが、私には人間の本質のひとつを確かに表しているように思います。
派手な演出はエンタメ映画としての所産にも思えますが、この作品を見る時にそこだけに目を奪われてはもったいないです。
この映画が描くのは、より多くを求め続けてしまう人間の性。
人は生きる限り常により多くを求めてしまうことから逃れられません。
それは時に向上心ともなり、時に不正を働く狂気ともなってしまいます。
誰しもが色んな意味で彼のようになり得るということを考えさせられます。
そんな作品を作り上げているのはやはり主演のレオナルド・ディカプリオの演技でしょう。
才覚を持つ人間、狂気を内包した人間を演じさせたらレオナルド・ディカプリオの右に出るものはなかなか居ないと感じます。
視線、表情、所作、全てが圧倒的な存在感で、かつ繊細です。
好き嫌いがはっきり別れる映画かもしれませんが、ぜひ一度は見てほしい一本です。
スタイリッシュな映画①『コードネームUNCLE』
スタイリッシュな作風の映画といえば007シリーズやオーシャンズシリーズなどの有名作品を思い浮かべがちですが、引けを取らないと感じるのがこの映画。
アメリカとロシアの諜報員が互いを目の敵にしながらもスパイチームとしてタッグを組み国際的なテロ組織を追い詰めていく、というストーリー。
展開としては王道的にすぎる感もありますが、テンポの良さや爽快感、絶妙な掛け合いなどは抜きん出ています。
続編を期待させるラストもいい味を出していますね。
癖になるスタイリッシュさは幅広く映画好きにおすすめできます。
言葉で多くを語る必要はないでしょう。必見です。
スタイリッシュな映画②『キャッチミーイフユーキャン』
1960年台に世界中で小切手詐欺事件を起こし稀代の「天才詐欺師」として知られたフランク・W・アバグネイル・Jr。
そして彼を執拗なまでに追い続けるFBI捜査官のカール・ハンラティ。
国境を超えて繰り広げられるふたりの追いつ追われつの逃走劇が軽快にそしてスタイリッシュに描かれています。
作中ではアバグネイルの犯行の鮮やかさに目を奪われ、エンタメとしての完成度の高さを感じますね。
一方で彼が人生を生きる中で自然に詐欺を覚えていき、生きるすべとして犯行を重ねていったその経緯にも考えさせられるものがあります。
ちなみにアバグネイルは実在の人物で現在は自身の経験を元にセキュリティコンサルタントとして金融業界や連邦政府などで講演を行っているのだとか。
スタイリッシュな映画③『グランド・イリュージョン』
「スタイリッシュ」という言葉がとにかく似合う映画といえば個人的にはこの「グランド・イリュージョン」を推したいですね。
超一流の4人のマジシャンたちがチームを組み、マジックによって瞬く間に不可能な銀行強盗をやってのけ、全世界の目の前でその様子を見せつけます。
黙っていられないFBIは彼らを追いますが、そんなFBIを見事に出し抜きながら、物語は予想外のラストに向かって展開していきます。
やはりこの作品の見どころは華麗な映像トリックでしょう。
鮮やかな手腕は見ていて飽きません、2時間があっという間です。
正直、物語の深みといった面では見劣りしますが、娯楽映画としては非常によくできています。
主演のジェシー・アイゼンバーグは「神経質な天才」みたいな役どころにはドンピシャでハマりますね〜
(『ソーシャル・ネットワーク』のザッカーバーグ役もハマっていました)
スタイリッシュな映画④『Mr.&Mrs.スミス』
見終わった時に「これぞエンターテイメントだ!」「これでこそハリウッド映画だ!」と思わせてくれる映画ーー。
アクション映画は数多くあれど、そんな作品に巡り合うことは稀です。
が、Mr.&Mrs.Smith はストーリー、アクション、映像構成、全てにおいて「ザ・アクションムービー」。
個人的には“アクション映画の王様”です。
深く考えずにとにかく思いっきり映画を楽しみたい!ザッツ・エンターテインメント!そんな時にぜひ見てほしい一本かなと思います。
設定自体がすでに最高に面白いのであらすじとかを読まずに見ることをおすすめします。
未来を垣間見るSF映画①『エクス・マキナ』
あまりにも現実とかけ離れたSF映画は観客を白けさせてしまうものだが、あり得る少し先の未来を見ているのかもしれないという予感、ヒリヒリとした緊張感、そして知的好奇心を感じさせてくれるのが『エクス・マキナ』だ。
AI(人工知能)を搭載した女性型ロボットを研究する施設で主人公の青年は彼女の完成度のテストに当たることとなる。
その中で徐々に彼女に恋心にも近いものを抱きながらもテストを続けていくと、次第に研究の本質が明らかになっていくーー。
テーマとしては昔からあったものだが、演出や切り取り方は全く古臭さを感じさせず、恋愛要素も必要不可欠な要素としてうまく調和し、人間とそうでないものの違いとは何なのか?という本質的な疑問を問う、よくできた作品だと感じます。
ホラーテイストなのが個人的には驚きでしたが、それも良い緊張感を演出していました。
未来を垣間見るSF映画②『タイム』
SF映画は設定で全てが決まる、と言っていいほど、いかに良い設定を持ってこれるかが大事になりますが、設定の面白さで言えば抜群なのが『タイム』です。
そう遠くない未来、人類は遺伝子操作で25歳から年を取らなくなることが可能になった。人口過剰を防ぐため、時間が通貨となり、人々は自分の時間で日常品から贅沢品まで支払うこととなった。また、通行料も時間で支払う必要があるため貧困層の地域と富裕層の暮らす町は実質的に隔離されている。裕福な人、すなわち時間を十分に持っている人たちは永遠にも近い時間生きることができるが貧困層の人々は働くことでわずかな時間を給料として受け取り、生活していた。(TIME/タイム - Wikipediaより)
歳を取らなくなることがありえるのか、時間を通貨とすることの現実味など、ツッコミどころは確かにあります。
しかし現実でもお金はある意味時間(=寿命)と交換される側面を持っています。
なのでSFを通じて人生の本質的な部分を捉え直す、という意味では興味深い思考実験だと思います。
(あえて苦言を呈するとすればマフィアとかを登場させるより、もっとSF要素を突き詰めてほしかったかも。)
アクションも多くエンターテイメント作品としての完成度は上々です。
未来を垣間見るSF映画③『アイランド』
2019年、リンカーンは大気汚染から救いだされ、完璧に管理された味気ない都市空間のコミュニティで暮らしている。
安全で快適だけれど、退屈。
ここで暮らす人々の夢は、地上最高の楽園「アイランド」へ行くこと、ときどき行われる抽選会が彼らの最大の関心事だ。
しかしリンカーンはある日ふとしたことから、この都市空間の恐るべき真実を知ってしまう。(Amazonプライムビデオより)
詳しくは映画を見ていただければわかりますが、そういうことだったのか!と唸らされる展開に物語は転がっていきます。
今自分が観ている世界が本当に現実の世界なのか、という『マトリックス』にも通じる問いがストーリーに深みを与えていますね。
現実世界でもここのところ実用化の動きが加速していることで話題の技術に関する映画なので、 一見の価値は大いにあるでしょう。
雰囲気に浸りきりたい映画①『マイ・ブルーベリー・ナイツ』
著名な歌手であるノラ・ジョーンズが主演をつとめていることでも有名な本作。
劇中歌にも多数彼女の楽曲が使用され、気怠げなのにすがすがしい、独特の世界観が作品全体を覆っています。
恋愛を軸としてストーリーは展開していきますが、何か明確なストーリーがあるというよりも、日常をもがく主人公の人生の何ページかをそのまま切り取ったような、そんな映画です。
何でもないシーンが続くのですがその特徴的な雰囲気のおかげか、鑑賞後には何とも言えない暖かさを感じるという不思議な魅力を持っています。
駆け引き的な恋愛映画には少し疲れたかな、という時に見るといいかもしれませんね。
雰囲気に浸りきりたい映画②『バグダット・カフェ』
映画好きな人なら誰もが観たことのある有名作なのに、一般的な知名度はそれほど高くない「バグダット・カフェ」。
近年のエンターテイメント性の高いハリウッド映画などと比べると確かに一般的に広くウケる作品ではないのですが、ただ娯楽として消費するだけのエンタメ作品とはまた違った非常に雰囲気のある映画です。
…というよりも雰囲気に浸りきることでその良さがわかる映画、というべきでしょうか。
なぜならこの作品は明確な起承転結も、わかりやすい敵とか味方もないからです。
ひとつの寂しいカフェを舞台に、それぞれに何かを抱えた人々が出会い、ほんの少しずつ、何かを掴んでいく、そんな物語です。
さびれた感じの独特の色合いの映像も特徴的ですね。
主題歌の「コーリング・ユー」が全体の雰囲気をしっかりまとめ上げているのも、この映画を名作たらしめている大きな要因のひとつかと思います。
雰囲気に浸りきりたい映画③『ラ・ラ・ランド』
開始冒頭5分でそのミュージカルのような世界観、希望に満ちた開放的な雰囲気に、一気に魅了され引き込まれる、エンターテイメント性の高い作品です。
一方でただ単純にアメリカンドリームを描くのではなく、夢を追いかけるということのひとつのリアルを描いているという点でメッセージ性も高く、観る人に問いを投げかけてくるストーリーとしての幅の広さも持っているということも特筆すべきでしょう。
その独特なエンディングには賛否両論が投げかけられる作品でもあります。
この手の作品にありがちな締めかたではなく、個人的にはよくぞその展開に持っていった!と納得度の高いラストでした。
雰囲気に浸りきりたい映画④『かもめ食堂』
フィンランドの首都ヘルシンキで食堂をオープンした日本人女性の物語。
暮らしを大事にする北欧のイメージともマッチして、ゆったりとした独特の世界観にファンも多い映画です。
はじめは地元の人からは「小さな人がやっているおかしな店」と敬遠されていた「かもめ食堂」。
そのお店を少しづつ手探りで変えていき、受け入れられるまでを描いています。
その様子は、決して派手ではなくむしろ自分の手の届く範囲で取り組んでいるのですが、しかし手を抜かずに丁寧に暮らしを彩っていくもの。小さなチャレンジを積み重ねていったもの。
アメリカンな一攫千金・一発逆転的なチャレンジや成功は自分のこととして捉えられませんが、目の前の生活から一歩だけ前に進みたい、踏み出したいと思う人にとっての「リアルなチャレンジ」を描いており、そこに多くの人が共感し希望を感じられるのだと思います。
いかにも日本人の思い描く北欧、という感じは拭えませんが、ひとつの世界観として確立されています。
ぜひ穏やかに晴れた休日にでも観てほしい映画です。
雰囲気に浸りきりたい映画⑤『武士の一分』
山田洋次監督による藤沢周平作品の映画化三部作の第三作目として制作された映画です。
木村拓哉さんが主演した作品としても知られている本作ですが、彼のように有名な方が主演を張った映画というのはどうしてもそのご本人の印象がついて回ってしまって、作品のキャラクターを味わいきれないということが起こりがちです。
しかし、時代劇という特性もあってか『武士の一分』では全く違和感なく、むしろ非常に惹き込まれる演技をされていて、とても驚かされたのを覚えています。
視聴者の先入観を払拭するだけの演技をするというのは本当に大変だと思うので…。
彼が演じるのは、藩主の毒見役を仰せつかっていた一人の下級武士。
早めに隠居し剣術道場を開いて子どもに剣を教えたいと願い、慎ましく暮らしていた彼だが、ある日ツブ貝の毒にあたり意識不明の重体に。
三日後に一命を取り留めるも彼は視力を失ってしまいます。
そこから彼の人生は大きくうねり始め、武士としての尊厳(一分)を賭けた出来事にまで発展していくーー。
やはり山田洋次監督の描く武士の世界は、静けさと厳しさ、そして暖かさの同居した魅力的な世界観です。
前を向く勇気をくれる映画①『はじまりのうた BEGIN AGAIN』
この映画の良さを伝えるのに、一体どんな言葉を駆使すれば良いのか。
ワクワクするだとか、音楽の素晴らしさを感じるだとか、そんな陳腐な表現しか思いつかない自分が悔しくなる。
原題は "begin again"。つまり、再出発。
落ち目の音楽プロデューサーと失意のシンガーソングライターが出会い、一枚のアルバムを作りあげる物語だ。
ただそれだけのストーリーなのだが、それこそが2人にとってかけがえのないもので、歯車が噛み合うようにゆっくりと時計が回り出す。
決して人生を大きく変える場面を描くわけではない。
でも、ふたりが確かな手応えを手にする過程を美しい音楽とともに描く本作は、ことさらに何かを示唆しようとしなくても自然と観る人に前を向く勇気を与えてくれる。
じわりと染み込むような物語を描くことに成功した、稀有な作品だ。
前を向く勇気をくれる映画②『ラッシュ/プライドと友情』
1976年のF1グランプリ。
その年のシリーズは今でも伝説的と語り継がれるほどドラマチックなものでした。
そんなシリーズを牽引したのが、本作の主人公である二人の天才レーサー。
自由奔放で恐れを知らない天才的なテクニックを持つジェームズ・ハント。
冷静沈着で緻密な計算を元にストイックに勝利を求めるニキ・ラウダ。
正反対の二人は互いを強くライバル視し、時に過激に挑発的な言動を投げかける関係でした。
そんな中、あるレースで起きた大クラッシュによって物語は大きく動き始めます。
実話を元にした骨太の人間ドラマが展開される中、絶妙に変わっていくふたりの関係性が実に見事です。
前を向く勇気をくれる映画③『ターミナル』
舞台はとあるアメリカの巨大空港。
主人公の男は、祖国のクーデターにより国が消滅、アメリカに入国することもアメリカから出国することも出来なくなってしまいます。
国が発行するパスポートをもとに入国ビザが発行されるのに、パスポートの効果を証明する国がそもそも無くなってしまうという「法の隙間」に落ちてしまったわけです。
彼は空港でひたすら待つことを余儀なくされます。
それでもくじけずに持ち前の社交性を武器にいつしか彼は空港の名物的な存在になっていきます。
しかし問題が起こることを嫌う空港責任者からの嫌がらせも度々。
果たして彼はアメリカに入国できるのか…
設定が非常に独創的で一気に物語に惹き込まれることはもちろん、主人公が周囲の人を巻き込みながら現実を変えていくその過程がコミカルで楽しい映画です。
失敗に落ち込まずにひたすら今出来ることをやる、というのはあまりに楽天的に聞こえる一方で、忘れがちな最も根本的な問題解決策なのだということを思い出させてくれます。
大切なものを振り返る映画①『アバウト・タイム 愛おしい時間について』
かなり以前から存在は知っていたものの、タイトル(特に謎の副題)のB級恋愛映画感でなんとなく敬遠してしまっていた映画なのですが、その評価の高さに後押しされて重い腰を上げて見てみたら、予想に反してじんわりと心に染みてしまった作品です。
特に男性は私のようにタイトルで避けてしまう人も多いかもしれませんが、実は恋愛要素以上に目の前の暮らしを振り返るきっかけを与えてくれる作品なのでとにかく一度視聴をおすすめします。
前半は設定の違和感というかご都合主義的な部分が気になってしまうんですが、その設定が後半になるとぐっと活きてきて、作品の主題があぶりだされていきます。
過去に戻ることが出来る主人公、という設定としてはどこかで聞いたことのあるようなものなのですが、彼がそこから導き出す暮らしの幸せへの答えがとても良いです。
大切なものを振り返る映画②『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』
原題は“5 Flights Up”、原作の小説のタイトルは“Herioc Measure”。
多くの洋画でみられるように、この映画も邦題があまり良いとは思えませんが、内容を最もよく表しているのは原作小説のタイトルである“Heroic Measure“でしょう。
医療用語で「健康状態を更に悪化させる危険性を伴うが、それ以下の治療では間違いなく失敗に終わるような場合に、最終手段として講じられる治療法」を指すのだとか。
命を救うために手足を切断する、のようなイメージですね。
参考ブログ(ネタバレ情報含む):【一日一語】英単語はストーリーで覚える!
家を売ると決めた老夫婦が様々な出来事に振り回された末に最後に大切なことに気づき、そして決断を下すのですが、彼らにとっての“Heroic Measure“とは何なのか。
そんなことを考えながら観ると味わい深い映画です。
夫婦のあり方が素晴らしく、彼らのような歳のとり方をしたいな、と思わせてくれる温かい作品でもあります。
大切なものを振り返る映画③『雨の日は会えない、晴れた日は君を想う』
交通事故で唐突に妻を亡くした男。
しかし彼はそんな状況にも関わらず自分が「つらくもなんともない」ことに気づきます。
自分は妻を愛していなかったのではないか。
そんな考えから逃げるように、彼は自分でも気づかないうちに「解体衝動」にとらわれていくーー。
原題は非常にシンプルな一語、"demolition"。つまり「解体」。
自分の心の機微を感じられなくなった主人公が自分を見つめ直すために行うのがこの「解体」という行動です。
分かったつもりだったものを一度全てをバラけさせてしまうこと。
強引で奇異にも映るこの行動が彼の喪失感との向き合い方。
自分の心の本質に不器用でも愚直に向き合おうとする様が非常に好感が持てました。
ふいに自分を信じられなくなった時に見てみたい映画です。
運命と選択を描く映画①『アメリカン・ビューティー』
平凡で平均的な核家族。一見幸せに見えるそんな家庭の中で実は歪みが生まれ、ぎりぎりの均衡でそのバランスが保たれているのだとしたら。
ただ幸せな日々を求めていただけなはずなのに、どこかでそのバランスは崩れてしまうのかもしれない。
広告代理店に勤める冴えない42歳の中年男性、レスター・バーナム。
彼は、見栄っ張りで自身の成功をしゃかりきに目指す妻からは軽んじられ、典型的なティーンエイジャーの娘からも嫌われており、仕事にもやりがいを見いだせず諦めきった毎日を過ごしていた。
そんないわゆる「中年の危機」に直面していた日々の中、彼が娘の同級生に恋をしてしまったことから家族の均衡は崩れていくーー。
1999年公開と20年ほど前の映画ではありますが、平均的な家族像が崩れ去っていく当時のアメリカ社会の見えざる闇をリアルに描いています。
中流家庭の崩壊は現在の日本にも通じるところがあり、今だからこそ日本で見直されるべき映画だと思います。
家族という普遍的なテーマを扱っているからこそ、誰にとっても最も身近で最も大きな問題を提起しています。
運命と選択を描く映画②『アナザープラネット』
SFチックなタイトルが掲げられた作品であり実際、「第二の地球が発見される」というSF要素の強い設定が採用されていますが、この映画の本質はSFではなく「贖罪」というテーマを扱っているところにあります。
主人公の女性は自身の不注意による交通事故で4人家族の命を奪ってしまった過失から2年間の懲役判決を受けます。
その後刑期を全うし、社会に戻ってきた彼女は清掃業に就き静かな暮らしを送ります。
しかしふとしたきっかけで被害者のひとりが命をとりとめていることを知り、彼に贖罪すべく素性を隠して彼と関わり始めていくーー。
納得のいかない展開も随所にあり、SF要素入れる必要あったかなと疑問も残りますが、第二の地球という存在を取り入れることで、もうひとつのあり得たかもしれない世界、パラレルワールド的な存在を想起させています。
あの時違う選択をしていれば、何かが少しでも違っていれば。
そんなどうしようもない後悔を考えてしまうのが、人間です。
しかし実際に起ってしまったことは取り戻せない、その先で何を選ぶのか。
評価は高くありませんが、貴重なテーマを扱っている作品だと思います。
運命と選択を描く映画③『バリー・シール/アメリカをはめた男』
パイロットからCIA工作員に、そして麻薬の運び屋に。
1970年台後半のアメリカで莫大な財産を築き上げた実在の人物「バリー・シール」を描いた映画です。
当時のアメリカと中米諸国の関係を踏まえたうえで、テンポよく物語をまとめきった構成が秀逸な作品だと思います。
確かに豪快なアクションや物語の展開が見どころですが、真面目にパイロットをしていた男がたったひとつの決断をきっかけに自分でも制御のきかないほどの激流の中に身を落としていく様が恐ろしくもあります。
運命と選択を描く作品④『アビエイター』
「夢」という狂気に落ちていく男を描いた映画、と個人的には感じる作品でした。
主人公は大富豪として有名な「ハワード・ヒューズ」。
航空事業の発展に自らの私財を投じて大きく貢献した偉人ではあるが、その性格は稀代の変人として知られています。
そんな彼が自らの夢によって追い詰められていく様子は、世の中のレールをそれてそれでも何かを達成しようともがいたことのある人にとっては、胸に迫るものがあるでしょう。
正直、169分と近年の映画としてはかなり上映時間が長く、内容としてもいささか冗長に感じられる部分も多いのも事実です。
それでも他の映画にはない迫力を随所で見せる本作は、トライしてみる価値のある映画でしょう。
運命と選択を描く作品⑤『ナイトクローラー』
センセーショナルなニュース映像を撮影し、テレビ局に売り込むことを仕事にするパパラッチ、通称「ナイトクローラー」。
学歴や職歴がないことで仕事につくことができない主人公は、ついに見つけたこの仕事にのめり込んでいきます。
彼の仕事ぶりは次第にテレビ局にも認められていき、アシスタントを雇うほどになります。
さらなる成果を求め次第に彼は過激な映像を求めるようになりますがーー。
この映画を「主人公の狂気」を描いたサスペンス映画として評しているレビューは多く、実際その通りではあるのですが、
私はむしろ、あまりにも自然な流れで主人公がエスカレートしていき狂気とも思える行動をとるまでに行き着いてしまう、その「自然さ」に愕然としました。
狂っている!と彼を弾弓することが我々にできるのか。自分はそうはならないと本当に言えるのか。
そういう意味で実に恐ろしく、よくできたサスペンス映画であると思います。
番外編『耳をすませば』
数あるジブリ映画の中でどの作品が好きかという問いはしばしば話題にあがるものですが、大の大人の男性が「『耳をすませば』が好きです」とはなかなか言いにくい雰囲気があるように思います(紅の豚なら許されても)。
しかしそれでも私は大人になって改めて見るべき映画としてこの作品を挙げたい。
中学生の勢いだけの恋愛だとか天沢聖司の行動がこっ恥ずかしいだとか色々言われていますが、この作品の見どころは「己の凡庸さを受け入れてそれでも進む姿」にあるのかなと感じます。
自分の凡庸さを受け入れることではじめて具体的な一歩を踏み出すことが出来る。
一方で凡庸さに慣れきってしまえば自分が自分である必要を見失ってしまう。
そんな危ういバランスの上で、それでも前に進み続ける姿をリアルに描いた稀有な映画だと思うのです。
作中において恋愛はもちろん重要な要素のひとつではあるのですが、それ以上に「選択への葛藤」に着目してみると全く違った見方ができます。
若者の「凡庸さへの受容と反発」をこれほど生き生きと描いている映画はなかなかないのではないでしょうか。
いろんなものを諦めてきた大人にこそ、もう一度見返してほしい映画です。
まとめ
個人的にはひとりの人間の人生やその運命、そして葛藤を描いたような作品が好きなので、今回のラインナップにはそういった傾向が強いかと思います。
迷いながらもがきながら、その先に何を得るのか、それとも失うのか。
そんな部分を描いた作品には言い知れぬ迫力とパワーを感じます。
エンターテイメントとして頭を空っぽにして楽しむのも映画。
あり得たかもしれないもうひとつの人生と捉え自分事として真剣に考えを巡らせるのも映画。
慰められたり、感動したり、苛立ったり、爆笑するのも、それも映画。
人生を色んな形で彩る、映画の素晴らしさ、面白さ、そして可能性というものを、この記事でほんの少しでも感じ再確認していただけたなら幸いです。