2018年7月、西日本を中心に列島の広範囲に渡って甚大な被害をもたらした「西日本豪雨災害」。
亡くなられた方、行方不明の方も多数出ており、2018年7月9日時点では11府県で死者81名、安否不明80名以上という信じられない数字となっている。
参考:西日本豪雨、増え続ける被害者 死者11府県81人に:朝日新聞デジタル
私の住む高知県でも各地で大きな被害が出ており、特に交通網へのダメージが大きい。
【高知新聞7月8日の朝刊から】
— 高知新聞 (公式)Kochinews (@Kochi_news) 2018年7月8日
高知自動車道の橋復旧見通せず 今後も土砂災害の危険に警戒
(写真=嶺北消防本部提供)https://t.co/FkOfJomT8J#高知新聞 #高知県 #高知のニュース #大雨 #災害 #高知自動車道 #高速道路 #立川橋 #立川トンネル #大豊町 #本山町 #土砂災害 pic.twitter.com/JgJN86Oaft
そんな中、WEB上での金銭面、情報面での迅速な支援の動きに感銘を受けることが多々あった。
そこで私の観測範囲内ではあるが、今回の西日本豪雨災害における災害時のWEB・SNS活用において効果的だと感じたものをまとめてみたいと思う。
※以下で紹介するものはもちろんこれまでにも存在した部分も多いとは思うが、その迅速さや一般的な動きとなってきたことが特筆すべき事なのかなと思って書いています。
情報提供
いたずらな情報拡散は混乱を招いてしまうため、発信方法が問われることの多い災害時の情報提供。
過去の震災時などには虚偽の情報がSNSで拡散され混乱を生んだこともあった。
しかし今回の災害では市民ベースでもかなり洗練された情報提供が行われている。
マッピング
給水所、炊き出し、入浴施設といった支援や施設は被災者が喫緊で必要となるものだ。
しかし「一体どこで支援が行われているのか」「あの施設はオープンしているのか」など、いざ利用しようとしたところで把握できないことも多い。
「ここの施設開いてます」といったような単発の情報は見かけるが、例えばその施設の近くにいない場合はどうすればいいのか。
そこで、多数の単発の情報をグーグルマップなどの地図上にまとめる「マッピング」が行われている。
給水MAP
【給水MAP、広島・愛媛・岡山県のそれぞれ作りました】
— 山口春菜 (@paruparu0723) 2018年7月8日
■広島県給水所https://t.co/2GEKm5vQkx
■愛媛県給水所https://t.co/NMUdrZT6Lh
■岡山県給水所https://t.co/uMQhVRDXFK
他にも入浴施設、炊き出しなど情報をまとめています。
困っている方に届きますように。#西日本豪雨災害 #拡散希望
例えば給水所であれば、上のツイートのように、都道府県ごとにまとめられて発信が行われていた。
実際のマップはこのような感じ。
現在いる場所に応じて選択できるようになるため、混乱は確実に減らすことができるだろう。
通れた道マップ
また、企業でも独自にマッピングをサービス化し、情報提供をしている場合もある。
例えばトヨタでは「通れた道マップ」というものを公開している。
直近の3時間(または24時間)で実際に通行できた道を示しているほか、通行止めや渋滞の情報も提供している。
拡大すると詳細が表示される(上は広島市周辺の例)。
ただし、独自のマップのためグーグルマップなどと同期することができず、普段グーグルマップをよく使う人ならちょっと使いにくいかも?
Google災害情報マップ
そういう意味では「Google災害情報マップ」がなかなか優秀だ。
災害情報のページの中で「交通状況」を表示してくれる。
私が実際使うとしたらこちらになるのかな、と思う。
しかしGoogleのサービスの割にはあまり知られていないような気がする。
支援コミュニティ
さて、話が少しそれたが今回の災害時の対応の動きに話を戻す。
個人的にかなり感銘をうけたのはフェイスブック上で「支援コミュニティ」が早々に立ち上がって情報共有が行われていたことだ。
上の画像のような感じで情報共有が行われ、まとめられている。
さらには集まった情報を体系立てて一覧のドキュメント化もしている。
こうした動きを災害後にサクッと行えるのは、WEBの大きな強みだ。
「単発の情報」から「体系立てた情報提供」へ
災害時にSNSで情報提供を行うことの重要性、というのは今ではかなり広く認知されているようだ。
今回もSNS上でかなり多くの情報を見かけた。
しかしこうなると今度は逆に情報の多さから何を見れば良いのかわからなくなる、という状況が生じていることも否めない。
そこで今回紹介したような「情報を体系立てて発信するプラットフォーム」が重要となってくる。
雑多な多くの情報を体系化してその上で最も重要で伝えるべき部分を切り出して提供する。
それが今後の災害時のWEBやSNSの活用で効果的な方法なんだと感じさせられた。
過去の災害時にも当然こうした動きはあったのだろうが、より迅速にこうした情報がまとめられるようになっているのでは、と感じている。
経済的支援
続いて経済的な支援に関してだが、こちらも今回の災害では従来の支援方法からかなりバージョンアップされた手法が使われていた。
polca
気軽なフェンディングが行えるとして人気の高い「polca」。
こちらから西日本豪雨災害の支援を行えるようになっている。
(実施者はポルカを立ち上げた家入一馬さん)
・少額から寄付できる
— のっさん (@nosaka_muscle) 2018年7月8日
・操作ほぼワンクリック
このふたつのおかげで「何かしたい」と思い立った瞬間にその熱量のまま寄付できた https://t.co/VmrWgimBFi
個人的には上のツイートで書いたように「少額」「ワンクリック」という部分で今まで災害とかの支援をなかなかすることができなかった人が支援をしやすくなったのではないかと思う。
私もこれまで災害募金とかはなかなかハードルを感じて気軽にはできなかったけど、ポルカであれば「何かしたいな」と感じたその時の熱量のままで支援を行うことができた。
【2018年7月豪雨被害】緊急災害支援金
— 家入一真 (@hbkr) 2018年7月8日
初回・2回目が目標を超えましたので3回目になります。polcaで集まった支援金は、手数料0円で自治体への義援金や、支援団体への支援金(ピースウィンズ・ジャパン等)として被災地に届けます。 #polca https://t.co/7gzzLUuoNt
手数料ゼロ、というのも「自分のお金が全て役に立つ」という面で好印象。
CAMPFIRE
日本最大のクラウドファンディングサイトとして知られる「CAMPFIRE」。
こちらも公式が支援金を募っています。
熊本や台湾の震災、九州北部の豪雨の時など、CAMPFIREとしてプロジェクトを立ち上げて支援して来ました。プラットフォーム自らプロジェクトを立ち上げるということに最初は社内でも議論はありましたが、「緊急時に動けなくて何がプラットフォームだ」という結論になりました。
— 家入一真 (@hbkr) 2018年7月8日
上で書かれているように、プラットフォーム自体がプロジェクトを立ち上げるべきなのか、という議論もあったようですが、安心感や実施のスピード感という意味で私は素晴らしいと思う。
さらに「クラウドファンディング」という手法が日常的に広く活用されているので、使い方がよくわかっている、というのが支援においては非常に重要かと。
こういうときに初めて募金する、という状況だとなかなか重い腰が上がらないですよね、正直。
ふるさと納税でも募金ができる
「ふるさと納税」のシステムを利用した募金も可能だ。
自治体に直接募金ができるため、被害の大きい地域にダイレクトにお金を届けることができる。
たとえば「ふるなび」などがある。
こうしたシステムもWEBならではではないだろうか。
WEBで進化する災害対応
WEBを使うことで災害対応は間違いなく進化していると感じる。
というよりもWEBで人のつながりやお金の流れがスムーズになることで、災害時の対応が最適化されている、という表現のほうが正しいだろうか。
今後も注目していきたい。