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新卒で地域おこし協力隊というキャリアのリアルを現役が語ってみる。メリット・デメリットを本気で書き出していきます。

地方創生が盛り上がりを見せるここ数年で、にわかに脚光を浴びている「地域おこし協力隊」という制度。

地方に暮らしながら3年間給与を得ることができるという制度が話題を呼び、地方移住の手段のひとつとしても注目されています。

総務省の資料によると平成29年度は全国でなんと4830人が地域おこし協力隊(およびそれに類するもの。以後総称して「協力隊」と記載)として活動したと報告されています。

これは前年と比較すると852名の増加となっており、この数字だけを見てもかなりのペースで制度が広がっていることがよく分かります。

(参考:総務省|平成29年度「地域おこし協力隊」の活動状況

 

これだけ協力隊というものに対する認知が広がってくると、協力隊を「新卒」後のキャリアとして選択する人も次第に増えてきます。

実際、このブログを書いている私もそうですし、私の知り合いの協力隊員にも何人も新卒で協力隊に着任した人がいます。

そこで気になってくるのは、果たして新卒で地域おこし協力隊というキャリアを選ぶのは実際のところどうなのか?というところでしょう。

  • 協力隊は気になるけどわざわざ新卒のカードを切ってまでなるべきものなのか?
  • 仕事として自分の成長に本当に結びつくものなのだろうか?
  • 業務経験のない未経験の新卒でも協力隊としてちゃんと活躍できるの?

こうした「新卒地域おこし協力隊」のリアルな疑問や不安に対して、今回は私の実体験をもとに考えを書いていこうと思います。

あくまで一個人の考えだということを念頭において、地域おこし協力隊になろうかと考えている学生の方はぜひ参考にしてみてください。

 

新卒で「地域おこし協力隊」というキャリアを選んだ理由

まずは私がなぜ新卒で地域おこし協力隊というキャリアを選んだのかという理由を簡単にご説明したいと思います。

やりたいことをやるための能力はやりたいことをやることでしか身につかない 

みなさんは将来的にこういうことがしたい、こうなりたい、という将来像はありますか?

私ははっきりとした将来像こそ持っていませんが、ぼんやりとしたイメージは常に持っています。

それは「大きな組織に属するのではなく、小さくても自分の城を持って自分で暮らしをコントロールしながら生きていきたい」というもの。

そして就活の際には、そんな日々を実現するためには一体どうすればいいのかを軸に考えを巡らせていました。

当時の私が導き出した結論は「都会の企業に就職してしっかりビジネスの経験を積んで十分実力を身につけたうえで、独立してやりたいことを始めよう」というものでした。

今思えば心底そう信じていたわけではなく、どこかで聞いたような文言をそれらしく語っていただけのようにも思われますが、とにかくそう考えたわけです。

決意した私は必死で就活を行い、ヘマをしながらもなんとか東京のベンチャー企業に内定をもらいました。

参考:就活で無理をしてボロボロになった要領の悪い僕の体験談

しかしその後転機が訪れます。

遊び兼イベント参加のために訪れた高知で出会った同世代の友人たちから大きく刺激を受けたのです。

彼らは「やりたいことをやるための能力はそれをやる中でしか身につかないよね」と語り、目指す未来への最短ルートを実に楽しそうに目指していました。

(もちろん色んな壁にもぶつかっていましたが、それすら含めて楽しそうでした。)

そんな同世代に触れたことで、確かになぜ遠回りをする必要があるのかと自問自答を繰り返し、結局はせっかく得た内定をお断りし、自分の思いに近いことをやれそうな地域おこし協力隊を選んだのでした。

参考: 僕が死ぬ気で得た内定先への就職をしなかった、たった一つの単純な理由

「いい人生レース」から降りたくなった

私は地方の国立大を卒業後、大学院に進学しました。

いい友人に恵まれ、研究テーマも興味深いものに取り組むことができ、充実した日々を送っていました。

傍から見たらそれなりに良い学校に通い「いい人生」を歩んでいるように見えたのではないかと思います。

そうした環境を享受できたことは非常に幸運だったと思いますし、サポートしてくれた家族には感謝しかありません。

しかし一方で私は、心のどこかで常に悶々としたものを抱えていました。

確かに安定して満足のいく日々ではあったものの、どこかで聞いたことのあるような展開をなぞるような2番煎じ的な自分の生き方に確信を持てなかったのです。

これまでもそんな思いにかられたことはありますが、それでも「いい人生レース」から降りるだけの切実さはありませんでした。

だって「いい人生レース」の外にある生き方なんて本や映画の中の世界の話で、リアリティがなかったから。

しかし実際にレースの外にある生き方をしている同世代を目の当たりにしたことで「もし今このレースを辞めなければ、永遠に僕はこのレースから飛び出せないのかもしれない」という危機感を覚えました。

それと同時に、フィクションの話ではなく実際にそういう生き方ができるんだ、と希望も感じていたことも大きかったです。

そしてひとたびそう思ってしまえばもう元のレースに戻ることなんて考えられず、勢いそのままに大学院を飛び出しました。

参考:「もったいないから」で何かを続けることの機会損失

もし失敗するとしたら早めに失敗したほうが良いと思った

勢いも手伝って新卒で協力隊になることを選んだ私ですが、一方で自分の状況を冷静に見てもいました。

それは「おそらく新卒で何のビジネス経験もない人間が飛び込んだところで、正直そんなにうまくいかないだろう」という想定を持っていたのです。

それまでに事業をひとつも動かしたことがないのに、いきなり素晴らしいアイデアをバシバシ思いついて地域課題をガンガン解決できるはずがない、と思っていたわけです。

そんなに簡単なら自分より賢い人がすでに取り組んで解決しているはずです。

だから失敗するのは大前提でした。

しかし、それは決してネガティブになって諦めていたわけではありません。

むしろポジティブな考えでそう思っていました。

 

私は直感やセンスが優れていたり特別能力が高いタイプではなく、何度もトライアンドエラーをすることで身につけていくタイプだとこれまでの人生で知っていました。

だから、もし年齢を重ねてから初めて自分の事業にチャレンジするとなるとむしろリスクが高いのではないかと考えたんです。

その頃には年齢相応のプライドもあるでしょうし、試行回数が少なくなってしまうことは避けられないでしょう。

攻めるべきときに攻められないような状況も出てくるかもしれません。

それに、もしサラリーマンとしてビジネスの経験を多少積んでいたとしても、自分で事業を動かす経験はそれほど数はこなせないはず。

だとすれば早めに試行回数を稼ぐほうが確実かな、と思ったわけです。

(実際1年半近く協力隊として活動してこの考えはかなり正しかったと思っています。)

実際に着任して1年半。素直に感想を書くとすると。

そんなこんなで協力隊に着任し、まがりなりに1年半ほど活動してきました。

気づけば協力隊の任期も折り返し(3年間最大いた場合)ですが、ここまで協力隊として活動してきた感想を本当に素直に(どうしてもかけないところ以外w)書いてみたいと思います。

なってみて良かった。自分で決断して選択するしかないリアルさ

まず最大の感想は「なってみて良かった」です。

協力隊は地域によって、さらには行政の担当者によってかなり働き方や許されることの幅がぶれますが、私の場合は仕事の大部分を自分自身の決断に委ねられていました。

これはサポートが手厚くない、という言い方もできますが、私にとっては非常に良い環境だったと思っています。

なぜなら「自分自身で決断するしかないのだ」という当たり前のリアルを身をもって体感することになったからです。

私の最大の目的は「充実した協力隊ライフ」を送ること、ではないわけです。

無様でも協力隊を使って人生にはずみをつけることです。

そう考えれば自分の至らなさを知る、という意味でも自分の行動がダイレクトに自分に返ってきたほうが自分自身をきちんと認識できます。

そんなリアルさを体感できるという意味で協力隊になったこと自体は非常に良かったと思っています。

参考:自分には何ができるのか?という問いを突きつけられた一年だった。

「地域おこし協力隊」というキャリアは存在しない。

一方で協力隊になって気づいたもう一つの当たり前のこととして「地域おこし協力隊」というものはキャリアじゃない、という気づきがありました。

学生のころは「協力隊の成功事例」みたいな話を色んな所で見聞きしていたので「協力隊」というもの自体にある程度のネームバリューというかキャリア的な価値が多少はあると思っていたのですが、実際はそんなことはないと思います。

協力隊というのはあくまで制度名であって、協力隊になること自体で何かの能力が担保されるわけではないからです。

つまり協力隊の3年間の価値を示すためには自分でその価値を示す言葉を見つけなければならないわけです。

これは新卒で着任した人にとってはひとつの大きなハードルかと思います。

私も試行錯誤をしている最中です。

当然行政職員という立場に不自由さを感じることも

これはある程度予想できていたことですが、地域おこし協力隊はどう解釈しても「行政職員」の一員であり、そのことで不自由さを感じることも当然あります。

例えば地域おこし協力隊は「活動費」として業務内で使える年間200万円の予算があります。

これは協力隊独自の予算となるので、この200万円を使ってあんな事業をしよう、こんな事業をしようと想像をふくらませるわけですが、これの活用は意外と難しかったりします。

その使い方は行政職員として適切なのか、本当にその額が必要なのか、市町村としてどう判断するのかは自治体によって分かれるところです。

税金から支出されているのでそんなの当然なんですが、あたかも200万円自由に使えるかのように言われることもあるので、誤解しやすいかもしれませんね。

 

あとは休日の行動でも問題があると上司に影響が及ぶとか、地域の人からは行政の人とみられがちだとか、こちらも当たり前なのかもしれませんが、どこかで「行政」という立場は薄々感じ続けることになるかと思います。

別にそれが良いとか悪いではなく、事実として、ということです。

つまり協力隊は

自分で選択をしなければならないという事業主的な視点の一方で、行政職員であるという立場もある。

ということですね。

この辺のバランス感覚は必要かもしれません。

素直に就職したほうが良かったのでは?と思うこともたくさんあった

新卒から協力隊になって結構私が悩むのは「自分には武器が少ない」ということです。

例えば企業で何かを専門に何年も働いてきた人は、それを活かして地域に貢献する、という明確なものがあったりします。

そういった人と比べると、つい最近までただの学生だった自分に何ができるんだ…と考えてしまいます。

もちろん活動の中で身につけるんだ、必要であれば自分で学ぶんだ、と思って(実際に言いながら)地域にやってきたわけですが、やはり自分をアピールするときに何かわかりやすい武器がないというのはなかなかのハンデです。

ただでさえ「よそ者」なわけですから、この人は◯◯のひとだよね、というのが無いというのはなかなかしんどいですね。

そんなときはおとなしく素直に就職して何かスキルを身に着けたほうが良かったのでは?と思うことも多かったです。

しかし、就職したからと言って明確な何かが身につけられたのかと言えばそれも正直怪しいところではありますが。

弱気になったときはそんなことを思ったこともあったよ、という話ですね。

新卒で地域おこし協力隊になるメリット

さて、これまでの話と重なる部分も大いにありますが、ここからは「新卒で協力隊になるメリット・デメリット」をあげていきたいと思います。

まずはメリットから。

仕事は誰かに与えられるのではない、という意識が身につく

協力隊は正直自分で考えて動かないと何も始まりません。

そんな環境で(最大)3年間を過ごせるので「仕事は誰かに与えられるのではない」という意識を身につけることができます。

普通に就職していた友人の話などを聞いていると、やはりどうしても上司から与えられた仕事をこなすというスタイルになりがちです。

それが悪いわけではありませんが、もし自分で仕事を創りたいというような思いを持っているのであれば、自分で仕事を見つけるしか無い、という状況に追い込まれるのはなかなか素晴らしい環境かと思います。

特に新卒からのチャレンジであれば、企業文化みたいなものに染まっていないので、最初にこうした文化の中に飛び込めるのは結構メリットだと思います。

常に3年後を見据えながら行動するようになる

協力隊はなんだかんだ言っても毎月固定給があるため、よほど散財しなければきちんと生活を続けていくことはできます。

しかし、一方で最大で3年間という任期の限度もあります。

これは一見デメリットのようですが、実はメリットだと私は思います。

なぜならこの締切のおかげで常に3年後を見据えなければならないからです。

3年経ったらどうするのか?という問いが常に頭の片隅に引っかかり続けますw

これは強制的に3年後独立しなければならない仕事のようなもので、私のような無計画人間でもこの制限があるから先を見据えていられます。

意外とのんびり屋(だけど何かしたい!)みたいな方こそ協力隊は向いていたり…??

面白がってくれる人もいる

協力隊という道を選んだこと自体を面白がってくれる人もそれなりにいます。

やはり協力隊というと個性的な方が多いですし、協力隊のことを知っている人は知っています。

さらには新卒から協力隊という道を選んでいればなおさらです。

なかには面白いというだけで仕事を振ってくれたりする方もいるので、そういう意味ではオトクな面もあります。

参考:土佐山アカデミー主催「地域おこし未来会議」でアイス販売&カメラマンをしたよ

新卒で地域おこし協力隊になるデメリット

つづいて「デメリット編」です。

ビジネス経験が少ないと、自分の「売り」を作りにくい

新卒から協力隊になった人の宿命かと思いますが、なかなか活動のなかで「自分の武器」「自分の売り」を作りにくいということがあります。

これは私も失敗したなあと思っている部分ですが、最初から「学生でした」スタンスだと「学生だった人」として見られるのが抜け切らないので、これをしたい!ということを明確に表明しておくのがひとつ大事だと思います。

誰かが業務の進め方を丁寧に教えてくれたりはしない

新卒だと初めての職場だということになり、一体どうやって仕事をすれば良いのか手探りでのスタートとなることが多いかと思います。

しかし、自治体によっては業務の進め方を丁寧に教えてくれることはないことも多いです。

特に協力隊の受入実績が少ない場合、そもそもどう対応して良いのか、行政の方もわかっていないことが多く、なんとなくうやむやで仕事がスタートすることも。

このあたりはもう思い切って切り込んでいくしか無いのですが、このへんの苦労だけではじめのうちは時間が過ぎていくので、新卒のデメリットでしょうね…

地域の「お手伝いさん」程度に見られてしまう

これは「協力隊」という名前が良くないとも思うのですが、新卒で仕事のいろはがわかっていない状態の若者がくると、どうしても地域の人からは「地域のおてつだいさん」的な見方をされることが多いです。

その流れにずるずると引きずられると3年間を「お手伝いさん」として過ごしてしまいかねません。

地域は慢性的にプレーヤーが少ないのでイベントとか行事の人手が不足しており、若者が来ると手伝ってくれないか結構期待されます。

そこはきちんと自分の目標を実現するために対応することが必要です。

参考:現役地域おこし協力隊が考える「仕事を選ぶ」ということ

まとめ

ここまで「新卒で地域おこし協力隊になった経験者」として思うところを語ってきました。

ひとつ認識しておかなくてはいけないのは「協力隊は自分の目標を達成するためのステップのひとつ」ということだと思います。

目の前の業務も大事ですが、それだけにとらわれずに自分の目標を見据えて動いていくことが重要かと思います。

そしてそういう態度が結果的には地域のためになるのではないかと私としては思っています。

 

もしも直接私に聞きたいことがあればTwitterなどでDMしてくだされば、記事ではかけないようなこともお答えしますw

Twitterはこちら!

また、上のツイートのように全国規模の協力隊のコミュニティもできていたりします。

こうしたモノを活用すれば想像以上に良い3年間を過ごせるのではないかと思いますよ。

ぜひ参考にしてみてください!

追記:記事への反響

結構反響あったので、まとめてみました。

追追記:ほかの新卒協力隊も記事を書いてくれたよ!

色々つながりのある、同じ新卒協力隊の「かなはしもと(@khashimoto1105)」さんも新卒協力隊に関する記事を書いてくださいました!

同じ構成で書いてくださっているので、新卒で協力隊を検討中の方はうまく比較しながら見ていただくと、いろいろと考察できるのではないかなと思います!

地域おこし協力隊はかなり向き不向きがある仕事。新卒で挑んだ現役隊員がメリットとデメリットを解説します! : 世の中は知らないことだらけ

ぜひ参考にしてみてください!