自分には何もない。
何もないことが本当にむかつく。
めちゃくちゃむかつく。
何かすごく大事なものを二度と取り返しのつかないようにぐちゃぐちゃにしてやりたい。
そんな焦りや不安にも似た怒り。
世界の貧困層、みたいな人から見れば、逆におれはむかつくくらいなんでも持っているんだと思う。
ある程度のお金があり、24歳にもなって親から仕送りしてもらい、ネットがあり、大学院へ通い、食べ物も毎日しっかり食べ、ときには飲み会とか旅行なんかにも行き、服や靴もたくさん持ってる。
いや、まじで恵まれてるなんてのは分かってる。
ありがたいなあとはもちろん思う。
でも、そんなことわかった上で言っている。
わかってるに決まってんだろ、バカかよ。
わかった上でほざいているに決まってんじゃねーか。
ばーーーーーか!!!!!!
ふと気付くんだよ。
あ、おれってからっぽじゃん。
すかすかじゃん、って。
自分が憎いほどに何もない。
からっぽで、すかすかで、ほんとに軽い。
涙が出るほど、この手のひらには何もない。
どんなに学歴を重ねたって、それなりの友人が増えたって、それなりの経験を重ねたって、
だからなんなんだ。
だからどうしたんだよ、それがなんだってんだよ、それが何になったってんだよ、結局何にもなっちゃねえじゃねえか、何なんだよこのザマは、何もないじゃねえか。
得たものといえば、社会から仲間はずれにされていない、ふわっとした安心、そんなのを時々感じるだけ。
あきれたか?
目的なく生きてるとバカにするか?
いいさ。実際そうだ。
でもさ、夢なんて一向に持てねえよ。
なりたいものとか出来ねえよ。
必死になれるものなんて見当たらねえよ。
これもでもずっと探してきた。
10年以上、おれはどうやって生きていくんだって模索してきた。
本気でぶつかれるものを求めてきた。
でもなかったよ。見つからなかったよ。
なんか偉い人に、学校のなかでそんなのは見つからないって言われてさ、
じゃあ学校を出て社会に出ればわかるんだ、とか思ってたけど、
社会人してる友達もそんなの持ってなかったよ。
日々の仕事の愚痴で精一杯だったよ。
忙しい仕事でもそうじゃない仕事でも、大変なことばかりなんだってよ。
なんだよそれ。
しれっと人の希望潰してんじゃねえよ。
そんなんを聞くと
このまま卒業して、なんか普通の職業に就いて、普通に生きていくのか
とか考えるわけで、
おれには何もない、というこの感覚を一生抱えて生きていくんだ、自分が何者かも分からぬまま死んでいくんだ、
って虚しくなる。
空虚だよ、24年間。
気がつけば24歳だ。
たぶん30歳もあっという間だし、40歳もすぐそこなんだろう。
そんなのでいいんだろうか。
たぶんこのままどんなに年齢を重ねたって、夢とか目標とか本気でぶつかれるものとか、そんなのは見つからない。
このまま何年過ごそうと、絶対見つからない。
それだけは自信がある。
空虚しか生まない日々をどれだけ重ねても、空虚しか生まれない。
何か確かなもの、確かな手応えがほしい。
この手で触れて、しっかりとその形を感じられるもの。
そんな確かさが欲しい。
そんなことを思う。