ここ数日はなんだか色んなことがあったけど、どれもさらさらとしていて、ほとんどがこぼれ落ちてしまったような感じがした。
この手のひらからこぼれ落ちないように、全部をちゃんと握りしめたい、と思っていたのに、
そうしようとすればするほど、この手のひらには何も残らなくって、さらさらとこぼれてしまう。
それをおれはただぼーっと見つめていた。
悲しむわけでも、慌てるわけでも、騒ぐわけでもなく、ああ、こぼれてしまうんだな、なんてただそれを身じろぎもせずに見つめていた。
時間は砂みたいだ。
とらえようとすればするほど、するりと逃げてしまう。
さらさらのものほど美しくって、とどめていたいと願えば願うほど、流れ出してしまう。
なのに、ぐちゃぐちゃと濡れて固まったものは、いつまでもこべりついて、離れちゃくれない。
どうしてだろう。
なんで逆になってくれないんだろう。
さらさらとした時間はビンに詰めたって、やっぱり美しさは褪せてしまって。
ぐちゃぐちゃとした時間は乾いてさらさらになるのを待つしかない。
ままならぬものだなあ。
何もかも変わりゆくというのに。
全てがさらさらになっても切ないし、全てがぐちゃぐちゃになっても苦しいし。
たぶん結局は、
おれはこの瞬間を生きるしかない。